作業台
作業台を作り変えました。
これまで使っていた作業台は2年程前に作ったもので、若干の補強と手直しを加えればまだまだ使えそうでしたが、丸ホゾしか作れず、
鉋や鑿の出番が殆ど無かった当時とは作業台に求める役割が変わってきつつありました。
当時は大体の平面精度と強度があれば事足りていましたが、最近では削り台としても使えるほどの精度が欲しくなっていました。
また、一人で勝手にもがき苦しんでいたこの2年間ですが、ようやく一つの区切りが出来たような心境の変化もありました。
目に見える形でも何かをリセットするには、毎日目にする作業台を作り変えるのが打ってつけだったのだと思います。
今回作業台を作りかえるにあたって求めたものの優先順位は次のような感じになります。
①お金をかけない、②平面の精度、③撤去のしやすさ、④そこそこの強度、⑤収納スペースがあること、の5項目。
①のお金をかけない、については全ての項目の枕詞でもあります。
③の撤去のしやすさ、については、あまり重要視すると強度や見た目の良さと反比例してしまいますが、前回の作業台も2年で
もの足りなくなったほどですし、理想どおりに使い続けられるものを作る自信が無い、気分を変えたくなるかもしれない、というのが根幹にあります。
④の「そこそこの強度」、については③の撤去のしやすさ、がもたらす副作用ですので「そこそこ」で致し方が無いと思います。
⑤の収納スペース、については木工を始めた頃からの憧れです。
というような事を踏まえつつ図面を作りました。
収納スペースは抽斗式にしてみたのですが、実は抽斗を作るのはこれが初めてでした。ネットで色々な作業台を参考にさせていただきましたが、
収納部分につきましては工房齋(いつき)の齋田様のアイディアを拝借させていただきました。
齋田様は以前から私が秘かに目標とする木工家のうちのお1人で、「アイディアを拝借した旨」をメールで報告しましたら、
突然のメールにもかかわらず、独立時のエピソードとともに、温かいお返事と励ましを頂戴しました。
今回初めて齋田様には師匠も無く、訓練校にも行かず、木工所で働いた経験も無くいきなり開業したことを知りました。
私には常に父や家族や友人の厚い助けがありますが、それでも似たような状況下の私には「木工で生計を立てるというのは並大抵のことではありません。」というお言葉が深く染み入りました。メールとはいえ、大先輩と言葉を交わせことは非常に大きな励みとなりました。
さて、前ふりが異常に長くなりました。近頃このブログを読んで下さっている方が少しばかり増えてきましたし、上記の齋田様の件もありましたので、いつもの無愛想な書きかたではあんまりだと思いましたので。
ではここからが本題です。通常通りのぶっきらぼうな備忘録となります。
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by Jiro.Fujiwara | #
by atelier_teo
| 2012-02-06 21:10
| 道具
A-Stool 001(sugi) #6
A-Stool 001(sugi) #1
A-Stool 001(sugi) #2
A-Stool 001(sugi) #3
A-Stool 001(sugi) #4
A-Stool 001(sugi) #5の続き
3回目乾燥後。
樟脳油で薄めずに漆のみを摺り込んだ。
今回使用した漆の粘度が高い方かどうかは分からないが、3回目の摺り込みから途端に伸ばしにくく拭き取りにくくなった。
手引きに従って3~5%程度は稀釈した方が良かったかもしれない。布も悪かっただろうと思う。毛羽立った。
椀物などと違い、面積が大きいということも初心者にはハードルが高かったのかも知れない。
次回は思い切って専用の刷毛を購入してみよう。多少は違うだろうか?
この3回目の摺り込みあたりから一筋縄ではいかない拭き漆の厄介さと、
自分の技量とはまるで関係なく、加速度的に艶と深みを増していく漆の魔力を実感した。
4回目乾燥後。
3回目と同様稀釈せず。一段と伸ばしにくく拭き取りにくかった。
量が多いのか?吸い込まないからなのか?いずれにしても塗りの厄介さはニスの比ではない。
これ以上下手くそが塗リ進めると残念な結果になっていくだけだし、十分な艶が出たので今回はこれで終了。
初めての蟻組み接ぎと拭き漆。初めてづくしの今回のスツール。
気楽に使えるものを作るつもりだったのに、なんだか座るのをためらいそうなほどの見た目になった。
とはいっても、組接ぎ部分も拭き漆も、趣味の範囲ならこの程度の出来でも良いのだろうけれど、
商品とするには全くお話しにならない出来であるのは間違いない。
また、この程度の塗り回数では杉の傷つきやすさにあまり変化は見られない。
新たなことにひとつ挑戦すると、その何十倍もの課題が山積みとなっていく。
今回はかぶれずに済んだが、どの程度かぶれるものかそのうち試しておきたい。
A-Stool 001(杉・足場板)
W350×D297×H420
拭き漆仕上げ
Contents List
A-Stool 001(sugi) #2
A-Stool 001(sugi) #3
A-Stool 001(sugi) #4
A-Stool 001(sugi) #5の続き
3回目乾燥後。
樟脳油で薄めずに漆のみを摺り込んだ。
今回使用した漆の粘度が高い方かどうかは分からないが、3回目の摺り込みから途端に伸ばしにくく拭き取りにくくなった。
手引きに従って3~5%程度は稀釈した方が良かったかもしれない。布も悪かっただろうと思う。毛羽立った。
椀物などと違い、面積が大きいということも初心者にはハードルが高かったのかも知れない。
次回は思い切って専用の刷毛を購入してみよう。多少は違うだろうか?
この3回目の摺り込みあたりから一筋縄ではいかない拭き漆の厄介さと、
自分の技量とはまるで関係なく、加速度的に艶と深みを増していく漆の魔力を実感した。
4回目乾燥後。
3回目と同様稀釈せず。一段と伸ばしにくく拭き取りにくかった。
量が多いのか?吸い込まないからなのか?いずれにしても塗りの厄介さはニスの比ではない。
これ以上下手くそが塗リ進めると残念な結果になっていくだけだし、十分な艶が出たので今回はこれで終了。
初めての蟻組み接ぎと拭き漆。初めてづくしの今回のスツール。
気楽に使えるものを作るつもりだったのに、なんだか座るのをためらいそうなほどの見た目になった。
とはいっても、組接ぎ部分も拭き漆も、趣味の範囲ならこの程度の出来でも良いのだろうけれど、
商品とするには全くお話しにならない出来であるのは間違いない。
また、この程度の塗り回数では杉の傷つきやすさにあまり変化は見られない。
新たなことにひとつ挑戦すると、その何十倍もの課題が山積みとなっていく。
今回はかぶれずに済んだが、どの程度かぶれるものかそのうち試しておきたい。
A-Stool 001(杉・足場板)
W350×D297×H420
拭き漆仕上げ
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by Jiro.Fujiwara | #
by atelier_teo
| 2012-02-01 19:00
| 椅子
A-Stool 001(sugi) #5
A-Stool 001(sugi) #1
A-Stool 001(sugi) #2
A-Stool 001(sugi) #3
A-Stool 001(sugi) #4の続き
塗装。
桐油か荏油を塗るつもりでいたが、「拭き漆」に挑戦してみることにした。
漆はネットで買った中国産。ついでに買った「塗り読本」が基本の手引き。室は衣装ケース。
木地は#240で仕上げていたが、#320で改めて全体をサンディングした。
1回目乾燥後。
漆と樟脳油を半々。布でタンポ摺り→紙で拭き取り。
杉だからだろう、いくらでも漆を吸い込んでいく。
今見るとくすんで見えるが、最初はこれでも驚いた。
2回目はこのまま塗り重ねればよいと思っていたが、色々調べると「捨て摺り」というものがあることを知る。
とりあえず#400の耐水ペーパーで全体を水研ぎしてみた。
サンディングで消したはずの僅かな段差やスクラッチ痕などが次々と浮かび上がってくる。
結果として#400から始めたのは失敗だった。
その後、2回目3回目と塗り重ねるほどに木地の悪い部分が現れてきたからだ。
もっと漆を吸い込ませて荒い番手から水研ぎを始めればよかったのかもしれない。
拭き漆は数多ある漆塗りの技法の中では確かに「最も手軽に漆を塗ることの出来る技法の一つ」ではあるが、
こと木地作りにおいてはオイルフィニッシュ以上に高度で繊細な技術と豊富な経験が必要そうだ。
2回目乾燥後。1回目と同様に漆と樟脳油は半々。
少し艶が出てきたようだ。
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A-Stool 001(sugi) #2
A-Stool 001(sugi) #3
A-Stool 001(sugi) #4の続き
塗装。
桐油か荏油を塗るつもりでいたが、「拭き漆」に挑戦してみることにした。
漆はネットで買った中国産。ついでに買った「塗り読本」が基本の手引き。室は衣装ケース。
木地は#240で仕上げていたが、#320で改めて全体をサンディングした。
1回目乾燥後。
漆と樟脳油を半々。布でタンポ摺り→紙で拭き取り。
杉だからだろう、いくらでも漆を吸い込んでいく。
今見るとくすんで見えるが、最初はこれでも驚いた。
2回目はこのまま塗り重ねればよいと思っていたが、色々調べると「捨て摺り」というものがあることを知る。
とりあえず#400の耐水ペーパーで全体を水研ぎしてみた。
サンディングで消したはずの僅かな段差やスクラッチ痕などが次々と浮かび上がってくる。
結果として#400から始めたのは失敗だった。
その後、2回目3回目と塗り重ねるほどに木地の悪い部分が現れてきたからだ。
もっと漆を吸い込ませて荒い番手から水研ぎを始めればよかったのかもしれない。
拭き漆は数多ある漆塗りの技法の中では確かに「最も手軽に漆を塗ることの出来る技法の一つ」ではあるが、
こと木地作りにおいてはオイルフィニッシュ以上に高度で繊細な技術と豊富な経験が必要そうだ。
2回目乾燥後。1回目と同様に漆と樟脳油は半々。
少し艶が出てきたようだ。
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by Jiro.Fujiwara | #
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| 2012-01-28 21:31
| 椅子
A-Stool 001(sugi) #4
A-Stool 001(sugi) #1
A-Stool 001(sugi) #2
A-Stool 001(sugi) #3の続き
クランプを外してから5日が経過。
ようやく湿度が下がってきたので組手の仕上げに取り掛かる。
導突鉋で段差を払い、台直し鉋で全体を整えた。
サンディング。#120→#180→#240
組み終わった今となってはすでに隠れてしまって見えないが、
組手加工の際、本来は残すはずの凸部分にうっかり鑿を打ち込んでしまった。
すぐに気付いたが、リカバリー不能の深い傷が残ってしまいやむなく木裏使いに。
こういう寝ぼけた失敗が「横着や怠慢、志しの低さが招くもの」の典型だ。
欠け落ちた所に隙間が出来た。
切り落とした段階ですぐに面取りをしておかなかったのが原因だろう。
杉は爪だけではなく、洋服の縫い合わせの部分でも簡単に傷が付く。
服装も、作業台の清潔さも十分に気をつけてはいるが、
どうも今回は全体的にざまくな仕事になっている。
残すは塗装。
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A-Stool 001(sugi) #2
A-Stool 001(sugi) #3の続き
クランプを外してから5日が経過。
ようやく湿度が下がってきたので組手の仕上げに取り掛かる。
導突鉋で段差を払い、台直し鉋で全体を整えた。
サンディング。#120→#180→#240
組み終わった今となってはすでに隠れてしまって見えないが、
組手加工の際、本来は残すはずの凸部分にうっかり鑿を打ち込んでしまった。
すぐに気付いたが、リカバリー不能の深い傷が残ってしまいやむなく木裏使いに。
こういう寝ぼけた失敗が「横着や怠慢、志しの低さが招くもの」の典型だ。
欠け落ちた所に隙間が出来た。
切り落とした段階ですぐに面取りをしておかなかったのが原因だろう。
杉は爪だけではなく、洋服の縫い合わせの部分でも簡単に傷が付く。
服装も、作業台の清潔さも十分に気をつけてはいるが、
どうも今回は全体的にざまくな仕事になっている。
残すは塗装。
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by atelier_teo
| 2012-01-22 20:05
| 椅子
A-Stool 001(sugi) #3
A-Stool 001(sugi) #1
A-Stool 001(sugi) #2の続き
貫の加工。墨付け。
切り込み。
平ホゾ、通しホゾ、四方胴付き割クサビ締め。
貫を付けて仮組。
裏面をサンディング。#180→#240。
クランプで30分固定。ゆるめて一晩安置。TitebondⅢ。
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A-Stool 001(sugi) #2の続き
貫の加工。墨付け。
切り込み。
平ホゾ、通しホゾ、四方胴付き割クサビ締め。
貫を付けて仮組。
裏面をサンディング。#180→#240。
クランプで30分固定。ゆるめて一晩安置。TitebondⅢ。
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| 2012-01-16 16:01
| 椅子